涅槃会団子まき。仏様の命日を偲ぶ行事。
令和6年3月15日、洞泉寺にて団子まきを開催いたしました。コロナの影響により、平成31年を最後に開催出来ていませんでしたので、令和初めての開催でした。久しぶりのため、どれだけの方が参加して下さるか不安もありましたが、多くの方が来られました。嬉しいことです。団子まきは仏様の命日を偲ぶ、仏教行事です。
仏様の生い立ちと出家
仏様は約2500年前に北インド(現在のネパール)の釈迦族の王子として生まれました。元の名はゴータマ・シッダールタです。王家の継承を嘱望されるも、生老病死の悩みが深かった彼は当時妻子もいたものの出家します。修行の末に、35歳で悟りを開きます。
団子まきは仏様の命日を偲ぶ行事
多くの弟子に囲まれながら生涯をかけて布教し、80歳になった年の2月15日に北インドのクシナガラで亡くなります。涅槃(ねはん)とは、一切の煩悩から解脱することや入滅し、亡くなることをいいます。涅槃会団子まきは仏様の命日を偲ぶ行事です。本来は2月15日なのですが、その時期は雪深いので洞泉寺では一か月遅らせて3月15日に毎年行っています。雪国のお寺では、3月中旬に行われることが多いです。
団子まきの時は、須弥壇に涅槃図という、横たわる仏様を囲って泣いて悲しむ弟子や動物達が描かれた掛け軸が架けられます。写真は少し見ずらいけれど…。
命日を偲ぶ涅槃会で何故団子をまくの?
涅槃会が仏様の命日を偲ぶ行事なのは分かったけれど、何故団子をまくのでしょう…。これには諸説あります。仏様の晩年は、老衰により旅の道中は体力的に相当な苦労をされていました。そんな中、少しでも元気をつけて貰おうと、弟子の一人であるヤショという人物が一生懸命に団子を作り、仏様に差し上げたと言われています。
ヤショはお経を覚えることも得意ではなく、決して出来の良い弟子ではなかったそうですが、一生懸命に団子を作った姿勢に仏様もとても感謝したそうです。出来の良し悪しに拘わらず、真っ直ぐに真面目な人柄というのは、相手の心に響くものがあるのでしょうね。そこをしっかりと見極める仏様は流石だと思いますし、何だかとてもほっこりする素敵なエピソードですよね。そこから、仏様への供養として団子をお供えするという意味があります。
また、仏様が亡くなられて火葬した後の仏舎利(仏様の遺骨)を模して団子が作られたとも言われています。
長野県の郷土料理やしょうまの由来
ここで少し話が広がりますが、長野県の郷土料理で”やしょうま”というものがあります。米粉に砂糖や塩を混ぜて作られた餅菓子です。
やはり、涅槃会の2月15日に仏壇にお供えすることが風習となっています。この”やしょうま”という名前は非常にユニークで興味をそそりますね。名前の由来は諸説あるそうですが、その一つとして先程出てきた、ヤショという仏弟子が作った団子を仏様が「ヤショ、うまかったぞ。」と言って息を引き取ったことから、略して”やしょうま”と呼ばれるようになったのだそうです。涅槃会で団子をまく風習と繋がる逸話ですね。
お団子の御利益
お団子を食べると、無病息災の御利益があると言われます。みそ汁に入れたり、醤油と砂糖と片栗粉で甘辛くとろりと煮込んだり。または、串団子のようにしてたれをかけてみたり。色々なアレンジをして食べるのがお勧めです。
御守りを作るのもお勧め
昔からある風習で、お団子を使って御守りを作ることも出来ます。よく乾燥させたお団子を小さな布に入れて糸をつけます。ある檀家さんが下さった御守りの写真です。どれも丁寧に作られていて、かわいらしいですよね。昔はこれをランドセルにつけることが子供達の中で流行っていたようです。頂いた御守りは投稿主の副住職の長女(3歳)が全部占領して大事に保管しています(笑)。
仏様の三大法要の一つ
お寺の行事は地域の方々の協力で成り立っています
写真をご覧の通り、準備段階より多くの方々の支えがあり当日を迎えることが出来ました。投稿主である副住職自身、団子をまく側になるのは初体験のため、若干緊張しましたが、無事終えることができ、大変嬉しく思います。参加して頂いた方々、大変ありがとうございました。
玄関の土間にかまどを置き、米を蒸らして団子を作っていきます。
団子をござに並べて乾燥させます。熟練の地域の方々、自然と役割分担されててきぱきと作業が進んでいきます。この姿には、ただただ尊敬です。
どなたにも親しみを持ってもらえる寺でありたい