仏教と心理学のはなし

僧侶と心理士の二足の草鞋を履く、禅寺の副住職による随筆。

食メディア「おうちごはん」にて洞泉寺の精進料理レシピをご紹介頂きました。

曹洞宗大本山永平寺での修行時代に大庫院(だいくいん;料理係)に配属された経験を元に、クックパッドに精進料理レシピを公開しています。
 今回縁あって「おうちごはん」と呼ばれる食メディアの記事にて、私のレシピを紹介して頂きました。
おうちごはんのホームページの精進料理の記事にて、
・お麩じゃが
・おでん
の2品を紹介して頂いております。良ければご覧下さい。

津南町の龍源寺様にて、育児教育にまつわる講演をさせて頂きました。

本日は津南町の龍源寺様にて、僧侶×臨床心理士として「思春期の心と親子関係」をテーマに講演をさせて頂きました。

 
思春期の子どもが抱えがちな葛藤を受容しつつ、どのように親子関係を築いていくか、ご提案させて頂きました。
1人、武術をしている、、「「受容からの提案」をバターン化する 「受容からの提案」 をパターン化する 個っているこどもに何かアドバイスする場面 ◎こどもが何かに不満でイライラしている場画 国り感やイライラ感情を 「大変だったね/それは誰だったね と受容したうえで、 「こんな考え方もあるよね。 と大人の視点を提案してみる。 いわゆる、 いわゆる、アザ アサーション的な問わり ン的な聞わり TIEN」というテキストの画像のようです
 参加された皆様は熱心にお聞き下さり、また活発なご質問も頂き大変光栄でした。貴重な機会を賜り、感謝申し上げます。今後も、少しでも育児教育やメンタルケアにお力添え出来るよう励みます。

合掌

すみっコぐらしから学ぶ、居場所の見つけ方

娘が生まれて以降、娘の興味関心を介してアニメやキャラクターに振れることが多くなりました。自分一人では恐らく興味を持つことは無かったであろう存在ですが、目を向けてみると奥が深くてなかなか面白いなあと感じることも少なくありません。その一つとして、すみっコぐらしが挙げられます。

 

すみっコぐらし

しろくま、ぺんぎん、とんかつ、ねこ、とかげ。主なキャラクターは5つ。

彼らは本来自分がいるべき環境に馴染めなかったり、理由があって正体を隠していたり、あるいは自分という存在が何なのか、アイデンティティーが分からなくなったりと、それぞれが何らかのネガティブな事情を抱えている集団です。

そんな彼らが元の環境を離れ、自分と同じような後ろめたい境遇を抱えている仲間たちと”すみっこ”という、居場所を見つけて共存する話です。

それぞれが抱える背景がなかなか切なく、ようやく落ち着く居場所を見つけられた子達をつい応援したくなります。なかなか考えさせられるストーリーだなとしみじみするのです。

それぞれのキャラクターを追っていきます。

 

しろくま

しろくまなのに、寒がり。そのため本来いるべきはずの、北極に適応出来ず温かい場所を求めて引っ越してきました。お気に入りの風呂敷を体に巻き付けて暖をとったり、お茶を飲むことを趣味にしています。

 

ぺんぎん?

自分が何なのか、よく分からず自分探しの際中です。今の所、自分の存在をぺんぎんということにしているのだけど、緑色のぺんぎんはどこを探してもいない。。

昔は頭にお皿があったような気もするし、好物はきゅうりだし、あれ?もしかして河童なのかな?と時々疑いの気持ちが出てくるのです。確証が持てないので、”ぺんぎん?”と、?がついています。

 

とんかつ

みんな大好き、とんかつ。でも、この子はとんかつの中でも端っこの部分なのです。口のピンクの部分だけが唯一の肉で、他の99%は脂肪。

脂っこいので食べて貰えずに残されてしまったのです。その記憶が辛いトラウマとして残っていて、時々思い出してどんよりしてしまいます。同じ境遇にいる、えびふらいのしっぽといつも一緒にいます。

 

ねこ

恥ずかしがりやでぽっちゃりとした体型を気にしている、気が弱い子です。生まれた後、貰い手を探していたのだけど、他の兄弟たちは貰い手が見つかる中、この子だけが残ってしまったという過去があります。

何故自分だけ残ってしまったのか、その理由を考え込んで、どんどんと自信が無くなってしまうのです。

 

とかげ

とかげということにしているのだけど、実は恐竜の生き残りです。泳ぐのが得意で魚が好き。ただ、正体をばらすとつかまってしまうので隠しています。お母さんは海のすみっこにいて、離れて暮らしています。

にせつむりという、かたつむりに憧れるなめくじさんがいるのですが、同じ境遇を抱えた同士、お互いを尊重し合っています。にせつむりにだけは、秘密を打ち明けています。

 

「すみっこ」という場所

そもそも「すみっこ」とはどんな場所なのでしょうか。周りからはあまり目立たず、光が当てられることも少ない、地味な場所かもしれません。

みんなでテンション上げて、わいわいやるのが好きな人もいますよね。でもそれは、陽キャの人達が好む居場所ということなのでしょう。

わいわいした場所に馴染めなくて、疲れてしまう人だって当然いる訳です。地味ではあるかもしれないけど、無理に着飾る必要もなく、落ち着ける場所として、すみっこは大切なのかもしれません。

元々都会に身を置いていたけれど、喧噪にもまれて疲れて田舎が恋しくなったり、移住を考えるようになるのも、すみっコぐらしと共通する心境があるかもしれません。

離れて気づいた!都会にはない田舎の良いところ10選 | 富士フイルム

居場所とは

居場所とは何でしょうか。生まれ故郷、学校、職場、縁によって色々な居場所が自分に取り巻いていきます。その縁を辿ってみると、自分の意思で飛び込んだ居場所もあれば、意思とは関係なく自然の流れでたどり着いた居場所もありますよね。

生まれ故郷は色々な縁があって親がそこで出産したからその故郷にいる訳で、自分の意思で選んだ場所ではありません。これは受動的な縁による居場所ということになります。

普段生活する上であまり意識することも無いかもしれませんが、場所ごとに様々な価値観や雰囲気があります。そこで求められる役割というものがあって、その場に身を置く以上はある程度その役割に沿って振る舞うように、その場の空気が圧力となって個人個人に作用していきます。

職場での価値観

その会社の職種、土地柄、経営状況、社員の人数や年齢層または性別によって、本当に雰囲気や価値観が千差万別です。

例えば新進気鋭の社員が集まって、新しい事業に挑戦するベンチャー企業もあります。仕事に多くの時間とエネルギーをつぎ込み、多様な業務を臨機応変にこなしながら、とにかく成果を出すことが求められる環境と言えるかもしれません。

 

一方、家事や育児をこなしながら傍らで出来る範囲で仕事をしている方だっています。そういった会社では、お互い様の精神で助け合いながら無理ないペースで、決められた仕事を淡々とこなすことが求められるかもしれません。

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今挙げた二つの会社。勤めている社員が抱えている事情や個性は大分違うのではないでしょうか。

家庭での役割も多い人が、重い責任を任せられる会社に身を置き続けてしまったら、バランスを保てずにいつか体を壊してしまうでしょう。


一方で、ばりばり仕事をこなしてキャリアを積んでいきたいと考えている人が、淡々と同じ業務ばかりが任される職場で勤め続けていたら、段々とモチベーションが失われてしまうでしょう。

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プライベートの人間関係での価値観

仕事の相性もさることながら、人間関係の相性だって千差万別です。先述の通り、みんなでわいわい騒ぐのが好きな人もいますよね。

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あるいは、静かに図書館で読書をすることを好む人だっています。

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性格と環境がアンマッチだったらどうなるでしょうか。元々わいわい楽しみたい性格の人が、図書館で長時間静かに過ごすことを強要されたとしたら、いつか発狂しそうですよね(笑)。逆に、静かな環境を好む人が派手なパリピが集うクラブに放り込まれたとしたら、これも可哀想ですね…。

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それは元々の性格による違いもあれば、年齢によって好みが変わっていくことだってあるでしょう。または、その時の気分によってどう過ごしたいかが変わることだってあるかもしれません。いずれにせよ、相性が合わない人間関係に身を置き続けるということは、心身のストレスが大きいということです。

 

自分と環境の相性

仕事とプライベートの人間関係を例に、環境との相性を見てきました。自分の性格も環境も個性がそれぞれな訳で、両者の相性によって居心地の良し悪しが痛いほど左右されるということです。

しばらく身を置くなかで感じる居心地の良さ、あるいは違和感を頼りにしながら、自分と環境の個性や相性が何となく感じられるのではないでしょうか。

その環境に居心地の良さを感じられたのなら、相性が良いと言えます。その場合は居続けることをお勧めします。

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逆に違和感が多いのなら、相性が良くないのかもしれません。その場合、他の居場所を見つけた方が良いかもしれません。

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先述の通り、それぞれの環境には求められる役割というものが自然と自分にふりかかってきます。クラブならテンションアゲアゲ⤴でいることが求められるし、図書館なら静かにすることが求められます。その役割に自分が適応し続けられるのか、ということが非常に大きなポイントです。

では、どのように判断して居場所を見つけていけばよいのか、考えてみましょう。

 

自分を知る

自分に合った居場所を見つけるには、まずは何よりも自分の個性を知ることが大切ではないでしょうか。自分の能力的な得手不得手は何なのか、あるいはどんな性格なのかといったことを、これまでの経験を踏まえて振り返ってみましょう。

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例えば、元々の傾向として決められたことを淡々と正確に事務的にこなすことが得意でも、自分からクリエイティブなアイデアを出すことは苦手な人だっているでしょう。

逆に、クリエイティビティーさに富んでいても、事務作業を任されるとミスを連発してしまう人だっています。

自分に向いていない仕事を続けるのはしんどいです。

・やりたいこと

・向いていること

これが、一致しないことも往々にしてありますが、夢だけを追い求めて向き不向きを無視するのは、あまり賢明な選択ではないかもしれません。

 

変化を受け入れる

あるいは、元々は仕事をばりばりこなすキャリア志向が強かったけど、家庭を持ったりと環境が変わることで他にも大切にしたいものが増えることだってあります。その場合、若い頃のようなキャリア志向は薄れていくかもしれません。これは、情けないことでは全くありません。ワークライフバランスを保つためにも、これは非常に大切なことです。

一方でこれまで自分が背負ってきたもの、取り組んできたことは自分自身のアイデンティティーを形成しているわけで、とても大切なものです。

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ただし、時が経つにつれて他の場面での役割や大切な存在が増えたりすることで、自分の価値観が変化することだってあります。そういった場合、これまで貫いてきたアイデンティティーを抱え続けることが、難しくなることだってあるでしょう。

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こういったタイミングは、誰だってかなりの葛藤を抱くものです。何かを手放す、あるいは諦めることで、自分という存在が崩れてしまうのではないか、という不安だって出てくるかもしれません。

あるいは、

諦める=負け

といった負のイメージだってあるかもしれません。

ただし、自分の体は一つしかなく、注げるエネルギーは限られています。無理に固執しようとしたところで、中途半端になってしまうかもしれないのです。

良かれと思って続けたとしても、結果的に”二兎を追う者は一兎をも得ず”の展開になってしまうかもしれません。

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そう考えると、何かを手放して現状でこなせる役割が得られる環境に身を移すことが、賢明な時期だってあるでしょう。

この決断は相当に勇気がいることです。ただし、焦らずに自分と環境をある程度冷静に見極めたうえでの決断であるならば、良い方向に向かうことが多いでしょう。

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すみっコぐらしから学ぶこと

冒頭で紹介したすみっコぐらし達は、みんなそういった葛藤を乗り越えてきた子達なのではないでしょうか。

 

例えば、しろくま。名前のとおり、白熊として北極で生まれました。

 

本来の白熊は寒さに強く屈強な体の持ち主で、北極でも逞しく生きることが求められる存在と言えるかもしれません。それに対して、すみっコぐらしのしろくまは寒さに弱く、暖かい場所を求めてやってきました。

もしも、しろくまが「白熊たるもの、寒さが苦手なんて言ってられない!」と、やせ我慢して北極に身を置き続けたらどうなっていたでしょう…。寒さに耐えられず、今頃息絶えていたかもしれません。

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白熊が寒さに強いというのは、一般的かつ表面的な価値観の一つに過ぎないということです。

もしもしろくまが、ごく一般的な白熊の価値観に縛られて我慢する選択をしていたとしたら、私達はこの可愛らしい白くてもふもふしたキャラクターに出会えなかった訳です(笑)。しろくまの選択がいかに賢明だったか、ご理解頂けるでしょう。

 

「○○たるもの」という、アイデンティティーの縛り

「○○たるもの。」といった役割は自分のアイデンティティーを固めてくれることもあるでしょう。決められた役割があるからこそ秩序が保たれている側面もありますし、縛りが全く存在しないのも、それはそれで問題です。

ただし、そもそもそのアイデンティティーはどこから生じたものなのでしょうか。自分で能動的に判断してきた結果生まれたものなのでしょうか。それとも、誰かが決めたことを何となく受容してきたものなのでしょうか。今後も変わらずに守り続けなければならないものなのでしょうか。

男たるもの、女たるもの、人間たるもの、大人たるもの…。公私ともに様々な場面で実に多種多様な「○○たるもの。」がありますよね。

 

自分に課されている「○○たるもの」が、ひどくズレている可能性だってあります。あくまでも、色々ある中の価値観の一つに過ぎないのです。やみくもに「○○たるもの。」に縛られるのは、柔軟性を失う原因にもなります。

あくまでもその環境で通用する一つの価値観に拘るのではなく、色々な方向に目を向けることも大切かもしれませんね。

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居心地の良い居場所とは

大分話が膨らんでしまいました…。

個性や抱えているものは人それぞれ異なる訳で、物事に対する価値観も当然変わってきます。違和感を多く感じる環境に身を置き続けることは、やはり心身ともに負担がかかってしまいます。

また、限られた価値観しか受容されない環境は、そこにいるメンバーにストレスをかけている可能性があるのではないでしょうか。ある程度自分の感情や考えを素直に表現し、それが受容される体験が出来て初めてアイデンティティーが育まれると思います。

自分が全く経験したことのない境遇にいる人の心境は、なかなか正確には理解しづらいかもしれません。ただし、同じ環境にいるなら、可能な限り色々な価値観を受容し合う姿勢は大切だと思います。

 

すみっコぐらしから学ぶ、居場所の見つけ方

すみっコぐらしの子達は、元々の環境に馴染めず一度挫折した経験があります。そして、ネガティブな側面を抱えながら、「すみっコ」という居場所を見出しました。ここから「自分の居場所は一つだけじゃ無いんだよ。」という教訓を身をもって教えてくれているように感じます。

 


そして、それぞれ色々な葛藤を抱えてきたからこそ、お互いを尊重しあうことの大切さを理解しています。だからこそ、お互いに干渉することなく丁度良い距離感を保ち、「すみっコ」という居場所を共有出来ているのではないでしょうか。

すみっコぐらしを見習って自分の居場所を見つけ、そしてより多様性が認められる環境にしていきたいものですね。

合掌

 

筆者紹介:大円良和(だいえんりょうわ)

新潟県十日町市 曹洞宗 鶏足山 洞泉寺の副住職。”大円”は僧名。同時に臨床心理士公認心理師の業務にも携わる。

心理学を専攻した僧侶として、ご遺族のグリーフケアに少しでも出来ることはないかと考える。開かれた禅寺を目指す。

当ブログと同時に洞泉寺ホームページを運営。精進料理レシピ紹介、SNS投稿、遊びを通じた仏教文化への触れ合い体験の提案などに取り組む。

洞泉寺ホームページ↓

ktmskrn1.wixsite.com

ハリネズミのジレンマ ~程よい対人距離の保ち方~

合掌する動物のマスコット

合掌する動物のマスコットに最近はまってまして。色んな動物があるんです。犬、白熊、カワウソなど様々あります。丁度よいゆるさ加減で仏教要素を取り入れたマスコット。僧侶にとっては、興味をそそられるアイテムです。

どうやら、エールワールドというメーカーが作っている商品のようです。箱売りしているシリーズと、ガチャのシリーズがあります。買い物に出かけた時に見つけると、欲しくなってしまうのです。。

yell-world.jp

先日ガチャを見つけて衝動買いしたところ、ハリネズミが出てきました。いやいや、メーカーのチョイスが渋い。

写真の説明はありません。

ハリネズミのジレンマという寓話
手に取りながら、”ハリネズミのジレンマ”という寓話を思い出しました。「相手を傷つけたり逆に傷つけられることを恐れて、近付きたいのに距離を取ってしまう」という、人間関係にまつわる葛藤をハリネズミに例えた話です。調べてみたら、この寓話はショーペンハウアーというドイツの哲学家によるものだそう。聡明な方は上手い話を考えるなぁと感心。ハリネズミさんは、書斎の本棚に安置しました。

寓話の由来

この寓話はハリネズミの実際の生態に由来しているのだそうです。群れで生活するハリネズミは、冬の寒さから身を守るためにはお互いに体を寄せ合って暖め合う必要があります。

しかし、そこで厄介になるのが背中に無数に生えた鋭い針の存在です。外敵から身を守るためには絶大の効果を発揮する武器になるのだけれど、仲間同士で助け合っていく上では悩ましいものなのです。

お互いに近づきたいと思っているのに、相手の針が痛かったり、または自分の針で相手を傷つけてしまったりしてなかなか上手く近づくことが出来ないのです。これはなかなか難しく、繊細な話ですよね…。あんな小さい体でありながら、抱えている葛藤が大きいですよ…。お互いに傷つけずに共存するために、適度な距離感を見つけていく必要があるのです。

 

人間関係でも大きな課題

これは恐らく、誰もが同じように人間関係で悩んだことがある葛藤ではないでしょうか。何故なら、人が生涯に抱える悩みのうち、9割は人間関係に関する内容だと言われています。

9割ってほんとかと最初は思うけれど、学生時代の友人関係や社会人になってからの職場で自分が抱える悩みを振り返ってみると、確かに人間関係についての内容であることが多いなと、思えるのではないでしょうか。

何故それほどまでに人間関係が大きく影響するのでしょう。それは人間の進化の過程にも関係します。他の動物と比較すると、純粋な身体能力や戦闘能力は人間は決して優れているとは言えません。

どうあがいても、人間が素手で虎と戦って勝つのは無理でしょ…。逃げますよね。

にも拘わらず、人間がこれほどまでに文明開化出来たのは、コミュニケーションというツールを身に着けて仲間と協力し合う能力を発展させてきたというのが、大きな理由の一つでしょう。長い年月によって、狩りをする時代から生活スタイルは変遷しましたが、対人関係無しでは生きていくことは出来ない生き物であることに変わりはありません。

いかに円滑な仲間関係を維持できるかということが生存に関わる訳ですから、人間関係が大きな悩みの種になるというのは、ごく当然のことなのです。

 

自分にとって大切な人だからこそ悩む

では自分にとって、どんな存在の人との関係に悩むのでしょうか。

これは物凄く単純な話です。自分にとって大切な存在であるほど、その人との関係性が悩ましいのではないでしょうか。

逆に考えれば、自分にとってあまり関わりの無い人との関係に悩むことは少ないでしょう。悩む必要が無いからです(笑)。もし、関わりの薄い人との関係に悩んでいるのであれば、気疲れするのでそれ以上悩むのは止めた方が良いかもしれません。

人間関係の葛藤の中で考え、感じていること

友人関係

恋愛関係

職場の人間関係

色々な人間関係の中で、抱える葛藤がありますよね。大切な存在であるほど抱く葛藤なのだけど。その葛藤の中で、どのようなことを考え、感じているでしょうか。

〇今の関係が崩れないか不安で、本音が言えない

これはよくありますよね。もう一歩関係を進展させたいと思うのだけど、今の関係が崩れてしまわないか、拒否されないか不安でなかなか踏み出せない。友達から恋愛関係に発展していくような過程でも、このような葛藤はありますよね。

または相手に対して、思うことがあるのだけど面と向かってなかなか注意出来ない。相手だって頑張っているし、自分だって迷惑をかけていることだってあるだろうし…。そう思っているうちに、心にもやもやをため込んでしまうことだってあるかもしれません。

相手が受け入れてくれるのだろうか、あるいは逆ギレされないか、等々不安が出てきて喉まで言葉が出かかっているのに言えない。なんていう経験は誰にだってあると思います。

〇相手や周りの反応が気になって、つい天邪鬼になってしまう

天邪鬼(あまのじゃく)。本心とは裏腹の言動を取ってしまうことです。これもよくありますよね。

例えば…。

本当は辛いのに、平気なそぶりをしてみたり。ストレスが小さいうちはまだ大丈夫でも、我慢を続けるうちにどんどん蓄積して抱えられなくなった頃に爆発してしまう。なんていうこともあるあるかもしれません。

他にも…。

相手のことが本当は好きなのに、真逆の態度を取ってしまったり。「お前、○○のこと好きだろ(笑)。」って友達から図星なツッコミをされても、言いふらされたり、相手からフラれるのが怖くて「いや、好きじゃねえし!」と強がってしまう。それで、相手に逆に冷たい態度を取ってしまって内心めっちゃ後悔するとか…。思春期の恋愛感情は大体これですよね(笑)。

自己防衛の一つ、反動形成(はんどうけいせい)

本心とは裏腹な天邪鬼な態度を取ってしまうこと、これを心理学では反動形成(はんどうけいせい)と呼ばれます。本心をそのまま言うことで、関係がこじれたり気まずい空気になることを避けようという、自己防衛の手段の一つなのです。

一時的にその場をしのげるというメリットがあります。ただ、逆に相手に勘違いをされたり、本心が言えずに段々ともやもやしてしまうというデメリットもあるかもしれません。反動形成をずっと続けるのは結構しんどいです。これはこれで、別の葛藤が生じてくる可能性があります…。

 

ジレンマとどう向き合うか

ハリネズミのジレンマに陥ってしまうのも、はやり理由があってのことだと思います。相手に受け入れてもらえなかったり、傷つけられたりして辛い思いをしたり、過去にトラウマになるような経験があると、自信よりも不安が先行してしまうかもしれません。不安だらけなのに、急にガツっと向き合えと言われても難しいですよね。

ちょっとしたことから試してみてみて、スモールステップを重ねて少しずつ自信を積み重ねていくことが大切になりそうです。

どんなスモールステップがあるか、考えてみたいと思います。

 

〇自分の殻に閉じこもっていないか、振り返ってみる

不安に陥っている状態は辛いですよね。余裕が無い時はどうしても視野が狭くなってしまいます。その時、自分が何に対して、何故不安になっているのかをちょっと客観的に考えてみましょう。

すると、本来自分が抱える必要のないことまで責任を背負おうとしていたり、重大だと思っていたことが意外と些細なことのように思えてきたりして、必要以上にネガティブ思考していた、なんてことに気付くことがあるかもしれません。

〇自分の不安を相手に伝えてみる

言いたい事を最初からストレートに言うのはハードルが高いかもしれません。そんなときは、自分が抱えている不安やトラウマを相手に伝えてみるのも一つの方法です。

「こんな風に思われてないか不安なんだよね。」

とか。意外と相手も同じような不安を持っていて、お互いに打ち明けることで親密になれることもあると思います。

 

〇言えそうなことから、少しでも打ち明けてみる

全てを伝えきれなくても、これだった言えそうかも、と思えることからちょっとずつ相手に打ち明けてみると良いかもしれません。いやいや、これだって結構勇気がいることです。ただ、ずっと我慢してため込んでいるとしんどいのです。

勇気を振り絞って伝えたという思いを、相手だって受け止めてくれるのではないでしょうか。相手側からしても、言われなきゃ気付かないことだってあるのです。打ち明けてみることで、意外とすんなりと受け入れてくれることだってあると思います。

悩みを打ち明ける女性 Stock 写真 | Adobe Stock

 

お互いを尊重したやり取り、アサーション

お互いの気持ちを尊重し、対等な立場で打ち明け合うことをアサーションといいます。

具体的には、まず相手の言い分を受け入れてから、自分の想いも伝えてみるのです。

相手:「こう思うんだよね。」

自分:「確かにそうだよね。それと、私はこんな風にも感じるんだよね。」

 

まず先に、相手を受け入れることがポイントです。

相手も受け入れて貰えたという満足感があるから、こちらの主張も受け入れてくれやすくなります。

まとめ

一方的に感情をぶつけ合うだけでは、相手だってないがしろにされた気分になってしまうので、とりとめもない喧嘩に発展して水掛け論かもしれません。ただし、相手を尊重しつつ自分の想いも主張したのなら、途中で口論になったとしても丁度良い落とし所がきっと見つかります。

気を遣い過ぎていると、何だかお互いに腫物にさわるような関係になってしまって、知らず知らずのうちに大きくすれ違ってしまうことだってあるかもしれません。

例え口論になることがあったとしても、真剣に思いを伝え合うからこそ良い関係が築けるのではないかと思います。そういった経験が出来ると、きっと関係性にも自信が持てるようになるはずです。お互いに大切な存在であるなら、時間をかけて関係性を深めていきたいものですね。


合掌

 

筆者紹介:大円良和(だいえんりょうわ)

新潟県十日町市 曹洞宗 鶏足山 洞泉寺の副住職。”大円”は僧名。同時に臨床心理士公認心理師の業務にも携わる。

心理学を専攻した僧侶として、ご遺族のグリーフケアに少しでも出来ることはないかと考える。開かれた禅寺を目指す。

当ブログと同時に洞泉寺ホームページを運営。精進料理レシピ紹介、SNS投稿、遊びを通じた仏教文化への触れ合い体験の提案などに取り組む。

洞泉寺ホームページ↓

ktmskrn1.wixsite.com

お釈迦さまの生涯とその教え

仏教を開かれた、釈迦牟尼仏(しゃかむにぶつ)。ブッダ、またはお釈迦さまとも呼ばれます。誰もが聞いたことがあるし、もの凄く偉大な方だってことは何となく分かるけど、でも実際にどんな方だったのか、どんな生涯を送ったのかはよく分からないな、そう思う方が多いのではないでしょうか。

後に釈迦牟尼仏ブッダ)と呼ばれるに至るゴータマ・シッダールタは、今から2500年前、紀元前5世紀頃に北インド(現在のネパール)の釈迦族の王子として生まれました。
ネパールはどこかというと…。

インドの上。地図の赤い所がネパールです。
そう、お釈迦様はネパール人なのです。

ネパールもインドと同様、スパイスカレーが美味しいですよね。
当時はどんなものを食べていたのか、分からないけれど…。

インドやネパールのことを天竺(てんじく)ともいいますね。西遊記に出てくる、三蔵法師孫悟空をはじめ仲間と一緒に天竺を目指して旅をしています。

出生時の言い伝え 天上天下唯我独尊~
生後すぐに立ち上がり、七歩歩いて「天上天下、唯我独尊(てんじょうてんげ、ゆいがどくそん)」と告げたという言い伝えは、非常に有名です。

唯我独尊の字面だけを読むと「ただ私だけが偉い」という、物凄くうぬぼれた言葉のように聞こえるかもしれませんね。
 
実際にその意味で、皮肉の言葉として使われることもありますが、本来の意味はそうではありません。
「唯我独尊」とは「ただ、我ひとりとして尊し」と訳されます。
この天上天下で誰かにとって代わることの出来ない、この命のまま、ありのままに大切な存在という意味です。
このことを面白おかしく表現している漫画を見つけました。これ最高(笑)。
普段、私達は冨、地位、名誉といった表面的なステータスに拘って、誰かに対して優越感、あるいは劣等感を感じてしまうものです。
その拘りが強ければ強いほど、お互いの本来の個性や能力を認め合い、活かすことが出来なくなってしまいます。これは、非常に残念なことです。差別もそこから生まれます。
自他比較することなく、何かの条件を課すこともなく、ありのままの存在を尊重し合うことの重要性が込められているのです。
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天上天下、唯我独尊~
お釈迦様がこの言葉を出生後直ちに語られたと言い伝えられているのは、お釈迦様の教えを聞いた人々が「お釈迦様は生涯をかけてそのことを明らかにして、広く伝えようとされた方である。」という感動を表現するためです。それ程、誰もが尊敬する存在になっていきました。

因みにね。少し冷めたことを言ってしまうようで恐縮なのだけど、本当に出生直後に歩き出して語った訳ではありませんよ…。

生まれたばかりの赤ちゃんが、急に立ち上がって語り出すなんてことは、普通に考えてあり得ないでしょ(笑)。
尊さや偉大さを表現するために常人離れした逸話を残すというのは、頻繁に用いられる古典技法のひとつです。
仏教に限らず、こういった逸話は他でもよく聞きますよね。
例えば、中国で大人気、三国志関羽という将軍。三国無双の経験者は、ご存じですよね。彼が持つ青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)という薙刀は、何と50キロもあったと言われています。
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因みに、50キロの薙刀を自在に操るためには、700キロの握力が必要なのだとか。
いやいや、もうゴリラじゃん!
あり得ねえって…。
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こういった常人離れした逸話に出会った時には、「それだけ偉大で尊敬される存在だったのだな。」と解釈するのです。

仏教の言い伝えにおいても、そのような姿勢で向き合う必要があります。

大分脱線してしまいました…。話を戻します。

 
ブッダという言葉の意味
お釈迦様のことを、ブッダとも呼びますよね。このブッダというのは、お釈迦様の名前のことではないのです。そうだったの?と私も知った時は驚きました。
ブッダという言葉、これはインドでは「悟った人」という意味の一般名詞です。ゴータマ・シッダールタが悟りを開いたため、彼がブッダと呼ばれている訳です。
 
お釈迦様が出家に至るまで
紀元前13世紀頃よりインドには西洋民族であるアーリア人が侵入しており、当時も釈迦族を含め先住民族は支配を受けていました。
老い、病、死の悩みが深かったゴータマ・シッダールタは、ある時城外へ出かけようとすると、東門で老人、南門で病人、西門で死人に出会い、北門を出てみると出家者に出会い、気持ちが晴れた思いがしたと言われます。
このエピソードは四門出遊(しもんしゅつゆう)と呼ばれます。
ついに、29歳で出家します。当時、彼には妻子がいました。家族を残した出家は現代では考えづらいことですが、当時は社会的にも認められた行為でした。
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出家以降、様々な苦行に励みます。
  時には炎天下を裸で過ごしたり…
    時には片足のまま立ち続けたり…
      時には何十日も断食したり…
        しまいには骸骨のようになった時もありました。

苦行釈迦像
現代にも通じる、”中道”(ちゅうどう)という考え方
苦行は6年間にも及びますが、ついに悟りを得ることは出来ませんでした。
そこで自ら辿った道を振り返ると、悟りとは王宮での快楽でもなく、修行での苦行でもないと気づきます。
ここで、物事が極端な方向に偏らない”中道(ちゅうどう)”という考え方に辿り着きます。要は、物事の丁度良いバランスを保つことです。
この考え方には、非常に共感を覚えます。
心理学でも心の調子を一定にし、人との調和を保つためにも、物事のバランスを見出すことが非常に重視されています。
例えば、仕事と私生活のバランスを保つことをワークライフバランスと言いますよね。
これ、まさにお釈迦様が提唱した中道そのものですよ。めっちゃ大事!

2500年も前に、ここに気付かれるお釈迦様、やはり偉大な方ですよ…。
筆者も、今まさに真面目とふざけの中道を追究しながらブログを書いています(笑)。
 
ついに悟りの境地へ
快楽も苦行も捨て、ネーランジャラー川のほとりで身を清め、村娘スジャータより乳粥を施された後、菩提樹のもとで瞑想に入ります。

瞑想を始めて7日目。12月8日に明けの明星を仰ぎ見た時、悟りを開かれ、ついにブッダとなります。ゴータマ・ブッダが当時35歳の時のことでした。
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仏像やお釈迦様の絵画には、蓮の華の上に座られている姿を見ることがあると思います。
これは、蓮が泥の中に生じながらも美しい華を咲かせることから、悟りを象徴するものとして古来から蓮の華が親しまれてきたことに由来します。
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お釈迦様の悟りとは
お釈迦様の悟りとはいったいどのようなものだったのでしょうか。その悟りの核は、物事には必ず縁起や因果関係が存在するということです。万物は全て縁によって成り立ち、個々が独立したものなど何一つ存在しません。
お釈迦様もご自分が生きた時代に、生老病死の悩みを抱えたからこそ出家されました。そして6年間の幾多の試行錯誤の末に苦行を捨て、瞑想に入って7日目に悟りを開きます。これは苦行が無駄だったという訳ではなく、それ以前の快楽の生活と苦行の両方を体験したからこそ、悟りを得ることが出来たのです。
お釈迦様も快楽と苦行の体験という原因が元となり、悟りという結果に行きついた訳です。ここにもやはり、因果応報の法則が存在します。

お釈迦様はこの因果応報の法則を「苦」に当てはめて考えられました。
人生には苦しみが伴います。しかし、はじめから絶対的にある訳ではなく、苦しみを引き起こした因縁(原因)が必ず存在するのです。であるならば、その因縁を取り除くことが出来れば、苦しみから解放されます。
そのようにして、あらゆる存在の原理や人生苦への向き合い方について説かれていきました。
80歳で亡くなるまで、生涯をかけて旅を続け布教に励まれました。
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仏・法・僧という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
”仏”とはお釈迦様のことです。お釈迦様の説かれた教えを”法”といいます。そして、”僧”とは僧侶のことです。
仏様の教えである法を僧侶が守り布教を続けることで、仏・法・僧の関係性が成り立ちます。
お釈迦様がともされた法灯を、ずっと守り続けたいものですね。

合掌
 
筆者紹介:大円良和(だいえんりょうわ)

新潟県十日町市 曹洞宗 鶏足山 洞泉寺の副住職。”大円”は僧名。同時に臨床心理士公認心理師の業務にも携わる。

心理学を専攻した僧侶として、ご遺族のグリーフケアに少しでも出来ることはないかと考える。開かれた禅寺を目指す。

当ブログと同時に洞泉寺ホームページを運営。精進料理レシピ紹介、SNS投稿、遊びを通じた仏教文化への触れ合い体験の提案などに取り組む。

洞泉寺ホームページ↓

ウルトラマンのモデルは仏像だった!?

誰もが知っているウルトラマン。最初にテレビで放送されたのは、1966年のことです。当時の人気は凄まじく、平均視聴率は脅威の36.8%、最高視聴率は40%を超えたそうです。

それから現在に至るまで、数々のシリーズのウルトラマンが生み出されてきましたね。

ウルトラマンセブン。スーパーでガムとセットのマスコットが安売りしていた。

 

ウルトラマンのデザインは仏像がモデルだった

このウルトラマン、実は仏像をモデルにデザインされていたことをご存じでしょうか。これを知った時は私も驚きでした!まさか、そんな繋がりがあったなんて(゚д゚)!

 

分かるでしょうか。共通点。

まずは、ウルトラマンから。ちなみにこれはパワードです。

ウルトラマンパワード

続いて、仏像です。これは能登長寿大仏です。

能登長寿大仏

 

どうでしょうか…。よく見て下さい。顔が確かに似たような表情をしていますよね。口元がどちらも微笑んだような表情をしているのがお分かり頂けたでしょうか。

そうなんです。仏像に見られる、微笑んだ口元を表現する技法はアルカイックスマイル(古式微笑)と呼ばれるのですが、この技法がウルトラマンのデザインにも採用されたのです。
 
ウルトラマンは名前の通り、完全無欠の存在です。そして、何だか悟ったような有難い表情をしていて、神秘的なオーラを感じますよね。それって、仏像がモデルになっていたからなんですよ。何だか、納得しますね。
 
そもそもアルカイックスマイルって何?
ここで、疑問が出てきます。そもそも、アルカイックスマイルって何よ?聞いたこと無い言葉が出てきた…。
これは古代ギリシャで発祥した、彫刻の技法です。なるほど、確かに、ミロのヴィーナスとか微笑んでいますよね。

この古代ギリシャの技法は、はるか昔の飛鳥時代に日本にも伝来し、当時の仏像制作にも大きな影響を与えたと言われています。
当時から、日本と西洋の交流があったというのが驚きですよね。
このアルカイックスマイルを導入して制作された飛鳥時代の代表作品が、広隆寺弥勒菩薩です。国宝に指定されています。

広隆寺弥勒菩薩

 

悟りを得た存在ならではの神秘的なオーラを生み出すことに、アルカイックスマイルは大きく貢献しているのでしょうね。飛鳥時代以降、この技法が受け継がれてきたのも頷けます。

牛久大仏

 

何故、ウルトラマンのモデルに仏像が採用された?

アルカイックスマイルが何なのかは分かったけれど、今度は何故それがウルトラマンに取り入れられたのかが疑問ですよね。

だって普通に考えたら、怪獣といつも対決している戦士と仏像って繋がらないでしょ?笑

制作者がどんな思いでウルトラマンを生み出したのか、気になります。

初代ウルトラマンをデザインした、成田享氏は彫刻家なのだそうです。彼は、
怪獣=混沌
と、それぞれのキャラクターを概念化して捉え、ウルトラマンが混沌とした世の中の秩序を正す、というテーマを構想したそうです。
そこで、全能な存在としての仏の特徴をウルトラマンに取り入れたという訳です。
なるほど、キャラクターの役割を概念で捉えるあたりの視点が、芸術家らしいなと思わせます。分かりやすくなりますよね。
確かに、険しい表情をしているよりも、この穏やかな表情の方がウルトラマンならではの余裕や特別感を引き立てているような気がします。流石です。

まとめ
是非、今度旅行でお寺巡りをしたり法要でお寺に来られる時には、仏像の表情をよく観察してみて下さい。
仏像には色々な種類があって、実は仏様の中にも色々なランクがあったりします(笑)。仏様にランクがあるって何だかイメージしづらいかもしれないけれど…。
ざっくり説明すると、如来、菩薩、明王、天部、といった順にランクがつけられています。
(※これらを詳しく説明すると長文になり過ぎるので、また別の機会に。)
この中で上位ランクの如来や菩薩には、このアルカイックスマイルが採用されていることが一般的です。
違いに注目しながら、仏像を観察してみるのも面白いと思います。そして、誰かにウルトラマンのモデルになっていることを教えてあげて下さい(*^-^*)
合掌
 
筆者紹介:大円良和(だいえんりょうわ)

新潟県十日町市 曹洞宗 鶏足山 洞泉寺の副住職。”大円”は僧名。同時に臨床心理士公認心理師の業務にも携わる。

心理学を専攻した僧侶として、ご遺族のグリーフケアに少しでも出来ることはないかと考える。開かれた禅寺を目指す。

当ブログと同時に洞泉寺ホームページを運営。精進料理レシピ紹介、SNS投稿、遊びを通じた仏教文化への触れ合い体験の提案などに取り組む。

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愛する人を失くされた方へ

季節の変わり目には、思いがけない出来事が様々に起きるものです。大切な人とのお別れを経験される方も、やはり少なくありません。

これまで慣れ親しみ、当たり前だと思っていた生活スタイルが大切な方とのお別れを境に変化してしまうのですから、やはりご遺族の方々には大きな動揺や戸惑いが伴うものと思われます。

 

花言葉に込められた思い
花言葉でシオンには「追憶」「遠くにある人を想う」「あなたを忘れない」といった意味が込められます。
、「シオン(追憶 (追憶) シオン」というテキストの画像のようです
 
 
そして、リンドウは「悲しみに寄り添う」です。
ワスレナグサ、キキョウ、、「リンドウ (悲しみに寄り添う)」というテキストの画像のようです
 
 
悲嘆感情に蓋をせず、そして受容されることの重要性
 スイスの精神科医エリザベス・キューブラー・ロスは、病気を宣告された患者が失われていく己の命に向き合う過程や、大切な存在との別れを体験した方の悲嘆について研究し、成果をまとめた著書"死ぬ瞬間"を刊行しました。
お別れに向き合うことがどれほど辛いことなのか、またその過程の中で沸き起こる様々な感情を素直に表現し、受け止められることの重要性が訴えられています。

仏教で伝わる卒哭期(そっこうき)の再考
仏教では故人が亡くなられた日から数えて百日目を卒哭期(そっこうき)と呼び、泣くことをやめて悲しみに折り合いをつける日とされています。折り合いをつけることは確かに大切なことですし、ご遺族自身の今後の人生を歩む上で求められることだと思います。
故人としても、ご遺族の方にどうしようも無くしんどい日々が続くことを望んではおられないと思います。

 
ただし、故人との関係性や別れ方は多種多様なのです。ですから、杓子定規に折り合いをつける期間を定めてしまうのではなく、それぞれのペースが尊重される必要があると考えています。
 
グリーフワーク
辛いのは、それだけ大切な存在だったということでしょう。無理に感情に蓋をしようとしたり忘れようとしたところで、消える訳ではありません。そして、辛い気持ちを誰にも打ち明けず我慢する必要だって無いはずです。
人は常に平静を保てる程強くはないと思いますし、一人で抱えられることなんて限られているのです。だからこそ、人はコミュニケーション能力というものを身に付け、互いに支え合ってきたのだと思います。

セルフケア、という言葉があります。これは、心身ともに疲れた自分を癒すという意味です。このセルフケアと聞くと、何だか人に頼らずに自分だけで何とかしなければならない、といった意味のように感じられるかもしれません。
ですが、そうではありません。誰かに頼ることも、非常に大切なセルフケアの一つです。

グリーフワークのプロセス
悲嘆に向き合っていく過程、いわゆるグリーフワークの過程では様々な感情が出てきます。大切な人と過ごした楽しい思い出もあれば、先立たれたことの悲しみや悔しさ、または怒りだって出てくるかもしれません。それが自然なことなのです。
様々な感情がうごめいて、まとまらない内面を否定せずに素直に表現し、そして受け止められる体験を通じて、はじめて少しずつ向き合っていけるのではないかと考えています。
その過程にはやはり多くの時間を要するはずです。ですから、焦らずにご自分のペースを大切にして頂きたいと思います。

あなたの心の中で生き続ける
人は2度の死を体験すると言われます。1度目の死は医学的に死亡診断を受け、自分の肉体を失うことです。そして、2度目の死は人から忘れられることです。
逆に考えれば、1度目の死を体験しても周りの方が忘れないでいる限り、その方達の心の中で生き続けられるということです。思い出すことが何よりの供養になりますし、グリーフワークにも繋がると考えています。
故人が今後も生き続けるためには、ご遺族の存在が欠かせません。ですから、故人が生き続ける器となる、あなた自身を何よりも大切にして頂きたいのです。

シオンとリンドウ
シオンのように大切な人を「追憶」し「忘れない」こと、そしてリンドウのように「悲しみに寄り添う」存在が身近にいることが大切です。
洞泉寺もシオンに寄り添う、リンドウでありたいと考えています。
合掌

筆者紹介:大円良和(だいえんりょうわ)

新潟県十日町市 曹洞宗 鶏足山 洞泉寺の副住職。”大円”は僧名。同時に臨床心理士公認心理師の業務にも携わる。

心理学を専攻した僧侶として、ご遺族のグリーフケアに少しでも出来ることはないかと考える。開かれた禅寺を目指す。

当ブログと同時に洞泉寺ホームページを運営。精進料理レシピ紹介、SNS投稿、遊びを通じた仏教文化への触れ合い体験の提案などに取り組む。

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